「声の魅力 ~声の持つパワーでキャリアアップ~」

Kアプローチ以前、俳優の藤原竜也さんの舞台を観に行きました。さわやかで優しい声ながらも低音が響く深みのある声は、他の若手俳優の中でも際立っていて、さらに存在感を惹きたてていました。

 

「声には心が表れる」

声のトーンはあごの形や体格などで決まると言われています。親子や兄弟で声が似ているのも骨格が似ているから。ディズニー映画吹き替えの際に、キャラクターと体格が似た俳優を起用するのはそんな理由からと聞いたことがあります。体は「声を出すための楽器」。楽器によってその音色は様々です。

楽器が湿度など周囲の環境で音色が変わるように、声はそれを発する人の感情で変化します。笑顔で言う「こんにちは」と不機嫌な表情で言う「こんにちは」では、相手に与えるメッセージが全く異なります。声には、あなたの気持ちがそのまま表れるのです。笑顔で対応していますか?きちんと敬語が使えても不機嫌な表情でいては、マイナスイメージを与えてしまいます。

20代の営業担当の女性が、興味深い話を聞かせてくれました。「電話をかける時に低めの声で話すようにしたら、新規のお客様でもアポイントが取れるようになったんです」。ビジネスシーンでは低い声は信頼を与える話術のひとつ。会議で報告しなければならない、お客様を説得しなければならない、そんな時には、普段より少し低めの声を心がけてみましょう。

 

魅力的な声とは「響く声」

先ほど触れた藤原竜也さん。テレビや映画だけでなく、舞台にも数多く出演しています。稽古での発声練習が彼の声を鍛えたのでしょう。熱演するには、会場いっぱいに響き渡る声が求められるのです。「響く声」、それは声による空気振動が体にも伝わる魅力的な声のこと。アナウンサーは、これを「マイクにのる声」とも呼んでいます。効率よく息を吸い込みその息をすべて声にして出す。この腹式呼吸を身につけると大声を出さなくても通る声が出せるようになります。

以前、声楽を学んだ友人に発声法について尋ねたところ、オペラ歌手は、会場の広さ、舞台に置かれる楽器や演奏者の数、そして来場者数など、その空間にあるものにどれだけ自分の声が反響するかを意識しながら声量を加減しているのだそうです。

 

響く声で説得力と信頼感をアップ!

寝ている赤ちゃんを見て下さい。お腹が上下に動いています。これが腹式呼吸です。私たちは成長とともに肩が上下する胸式呼吸になっていくようで、腹式呼吸がうまくできない人が多いです。それでは、腹式呼吸法をわかりやすく体感してみましょう。

これからの季節、冷えた手を温めるのに息を吹きかけることがありますよね。その感じで口の前に手を出して「はー」と息を吐いてみましょう。次に、同じ方法で「あー」と言ってみてください。喉がビリビリと震えていませんか?あまりきれいな声ではありませんが、これが腹式呼吸による響く声です。私はこの腹式呼吸による発声を身につけるのに数年かかりましたが、皆さんもトレーニング次第で、響く声が出せるようになります。

新人のころ、先輩から「ニュース原稿は腰で読め!」とアドバイスされました。お腹の底から声を出す感じをそう表現したようです。伝えようと気持ちと一緒に、声を出しましょう。そうすれば、あなたの言葉に気持ちと一緒に、相手にもっと届くはずです。

 

フリーペーパーNiNA 寄稿
(平成21年)※一部書き直してあります